【DIABOLIK LOVERS/短編集/R18】
第1章 お前だけが欲しい【逆巻アヤト】
連れてこられた場所は調理室。
「たこ焼き、作れよ」
『えっ、今?』
「今に決まってんだろ」
いきなりたこ焼きを作れと言い出した。
私はそんな気分じゃないんだけど。
『わかった…ちょっと待ってて?』
つい了承してしまう。
だって、アヤトくんが好きだから。
「おう。なるべく早くしろよ」
コイツはなんであんな悲しそうな顔してんだ?
数分後。
『はいっ、できたよ』
「お、うまそ。…はふっ……んー、やっぱりうめぇ」
出来上がった途端に食べ始めた。
どれだけお腹がすいていたのか。
「ほら、お前も食え」
『私はいいよ…そうゆう気分じゃないし…』
「チッ…なんだよ。何かあったのかよ」
『…え?』
「お前、なんか元気ねぇし…。とりあえずたこ焼きでも食えば元気になるかなーって思ったんだけどな」
『たこ焼き作らせたのって…私の為…?』
「バーカ、勘違いすんな。俺が食いたかっただけだし、ついでだ」
目を逸らしながら次から次へとたこ焼きを頬張る彼。
たこ焼きを食べる姿まで愛しい…
もう今伝えなきゃ…後悔する。
『私ね…アヤトくんが……』
「あ?」
『アヤトくんが…女の子を……っ』
さっきの光景を思い浮かべれば自然と涙が溢れ視界が曇ってしまう。
「なんだ、見ちまったのか」
『たまたま見ちゃって…』
「それで落ち込んでたのかよ。本当に俺様の事好きだよな、お前」
『好きだよ…アヤトくんのこと、ずっと好きだったの…!』
「ククッ…、バーカ」
そう言って強く抱きしめられる。