【DIABOLIK LOVERS/短編集/R18】
第2章 甘いものよりキミ【逆巻カナト】
「…居ませんね。いったい何処へ行ったんだろうね、テディ」
さっきから名無しさんを探しているんですが、何処にも居ませんね…
僕に言わないで勝手に何処かに行くなんて…。
「勝手に何処かに行くなんて……」
なかなか見つからない名無しの姿に、うっすらと目に涙を浮かべるカナト。
そんな中、キッチンからカナトが好きそうな甘い香りがした。
気になってキッチンへ歩を進めてみれば、大好きな名無しの姿を発見した。
「何をしているんですか…?」
『あ、カナトくん!今ね、カナトくんにケーキ作ってたのっ』
「ケーキですか…」
『カナトくん…えっ?どうしたの?泣いてる……っ!』
カナトの顔を見れば涙を浮かべていた為、心配そうにする名無し。
すると、ぎゅっと名無しを抱きしめるカナト。
「ずっと探してたんですよ…キミを」
更に力を込めて名無しを抱きしめる。
『ご、ごめんね…?』
とりあえず、謝りながらカナトの背中を撫でる。
「僕から勝手に離れないでください…名無しさんが居ないだけで気が狂いそうなんですよ」
悲しげな顔で名無しを見つめてくる。
な、なんたる可愛さ…。
『言わないでキッチンに来ちゃってごめんね…でも、カナトくんに喜んで欲しかったから…』
「気持ちは嬉しいですけど、僕はキミさえ居れば満足なんですよ。ね?テディ…」
抱きしめていた身体を話せば、手の中にいるテディに話しかける。
『カナトくん…//私もカナトくんさえ居ればいい…。あ、でもケーキ焼いちゃったからクリームだけ塗らせて?』