第14章 生きるも生かすも・・・あなた次第です。 (吉原炎上編)
『はぁー・・・・疲れた・・・』
私はそのまま地面に膝をついた。
神「殺しあいって言っただろ?早く俺を殺りなよ」
神威は倒れたままの体勢でそう言った。起き上がれないだろう。あの一撃と同時に経穴を突いておいたのだ。
いくら夜兎でも、動くことは不可能。かなりの力を籠めたから・・・
『最初から殺す気なんてなかった。神威には春雨を大きくしてもらいたいしね』
私は神威を抱き起した。その目にはもうすでに、獣の光は窺えなかった。
『それに・・・・死んでほしくないからさ、アンタには・・・』
神「・・・・どうして?俺は姉御を殺そうとした」
『いつの間にか、アンタも大切な者の一つになってた。もうつくらないって・・・辛い思いはしたくないから・・・・そう思ってたんだけど・・・・・』
結局私は、人の手を借りないと生きていけない。
もう、一人は嫌なんだよな・・・・・どうあがいても、一人で居たいとは望めない。
『本当に、神威が大切なの。だから、私には殺せない』
神「・・・甘いなぁ・・・そういうところが」
神威は低い声音で呟いた。
神「でも、そんな姉御だから俺は好きになった。だからここまで付いて来た」
『うん・・・ありがとう。付いて来てくれて』
私は神威の体の、活醒の経穴を突き、動けるようにしてやった。
『そろそろ、決着つくんじゃないかな?』
私のその声と同時に、最近会ったはずなのに、いつの間にかその温かさを忘れていた、あの目映い光がこの常世の街を照らした。