第12章 喧嘩は迷惑かけないように (吉原炎上編)
静かになったな・・・と思い、神威達の居る方を見てみると・・・
『あれ?云業死んじゃった?阿伏兎も右腕ないじゃん』
云業は倒れており、阿伏兎は片腕を抑えている。
『アハハ・・・腕一本と一人でこの二人の喧嘩止められるなんて・・・阿伏兎にしちゃ上出来じゃない?』
私は阿伏兎の隣に立ち、肩に手を置いた。
『コイツの腕と云業の命に免じて、うちの坊ちゃんの不始末、許してくれない?』
阿「姐さん・・・・・」
阿伏兎に、遅い、という眼で睨まれた。ごめんなさいね。
『残り少ない同族同士で殺し合うなんて・・・・いくら戦闘種族といってもみっともないと思わない?私達は、旦那と戦争しにきたんじゃない。よりよい関係を築きにきただけ』
旦那は笑った。まぁ・・・眼は笑ってませんけど・・・
鳳「まだ甘い汁が吸い足りぬか。いっそこの吉原がほしいと正直に言ったらどうだ」
『元老も怖いんじゃない?夜王の怖さは私達が一番知ってるのよ。名目上、仲間ってことになってたし?旦那もこの街も巨大になり過ぎた。金だけじゃ足りないのよきっと。春雨を裏切らないっていう証がほしいんじゃない?あのクズ共は』
ほんと、ビビりな奴らよね。そんなに怖いならさっさと切り離せばいいのに
鳳「大した仲間だ。隠居し余生を送るこの老いぼれにたかろうというのだからな」
『ほんとにね』
鳳「興が覚めた」
旦那は立ち去ろうとしたが、阿伏兎が大声で旦那の名を呼んだ。
鳳「・・・・・・金でも、商いでも、好きにするがいい。そんな下らぬものわしはもういらぬ。だが・・・・」
旦那は血走った眼でこちらを振り向いた。
あの~・・・ホラーなんですけど。壊れたおじさん人形みたいなんですけど・・・
鳳「この街。わしの吉原を奪おうというのであれば。ぬしら、夜王の真の姿、見ることになるであろう」
そう言って、神威の隣を通り過ぎた。が、
神「興ざめしたのはこっちだよ」
神威がそれを阻むように呟いた。
神「そんなに自分のつくった玩具が大事か。ならばそのまま吉原で干からびて死んでゆけばいい。
あんたは殺すにも値しない」
それだけ言うと神威は屋根から飛び降りた。
私も後を追うようにして飛び降りた・・・・・・かったけど、地球人なので無理だ。仕方なく、階段を使うことにした。