第9章 傷跡は一生消せない
チュンチュン
と小鳥の鳴く声が聞こえてきた。
続いて、女中さんの、おはようございま~す、という声も聞こえてきた。たぶん、春菜だろう。
続いて、さっさと起きて支度しろ、という声が聞こえてくる。たぶんトシだろう。どうせまた、総悟を起こすのに手間取っているに違いない。
などと偉そうに現状分析しているが、私は布団の中。
起きようという気が全く起こらない。眠いわけではないが、起きたくないのだ。
土「さっさと起きろ」
またトシの声だ。まだ総悟起きてないの?
土「おい、起きろ」
ほら、総悟、起きないと。
・・・お?静かになった。総悟起きたんだな~
土「何回言わせれば気が済むんだてめーは!!さっさと起きろっつってんだろ!!瑠維!!」
そう言って毛布をはぎ取られた。
『ぎゃああ!!!』
土「もう少し女らしい声出せねーのか・・・」
私に言ってたの!?てか、いきなり毛布はぎ取るって・・・
『トシのエッチィィ~』
土「そういう時だけ女らしい声出すな!!」
私は頭をかきながら立ちあがった。
土「顔洗って、着替えて、朝飯食え」
『子供じゃないからそれくらい一人で出来ますゥ~』
よかった。
いつもの日常だ。
そんな事を考えながら私は顔を洗いに洗面所に向かったのだった。