第35章 信じるに値する男
私の瞳からは涙が流れ落ちた。
どうしてかぶるんだろう?とか・・・・そんなことよりも・・・・・
『銀時・・・・・』
帰ってこないかもしれないという不安ともう誰も失いたくないという気持ちが涙線をゆすったのだ。
結局は大好きという気持ちが大きい。
それは恋愛感情などではない。よくわからないが、いつの間にかあの男は私にとってなくてはならないものと化したようだ。
いつからこんなに涙もろくなったのだろう?昔は滅多なことでは泣かなかった。地球に来るまでは・・・・・・
『絶対・・・・あいつのせいだ・・・・・』
私は手の甲で涙を拭う。
『こんの・・・・白髪爆発ボケアホ天パのバカ男がァァァ!!!!』
私は思いっきり叫んだ。
土「うるせェ・・・・・瑠維」
『あー!!むかつくあのクソ男が!いつの間に昇格してんのよ!!意味不明ィィィ!!』
土「わかったから・・・・・静かにしろ」
トシに宥められ、私はピタリと動きを止めた。
土「どうした?瑠維・・・・!?」
『・・・・えって・・・・なかったら・・・・・どうしよ・・・』
先ほど涙を拭いたばかりだと言うのに、また次々と零れおちてくる。しかも今度のは達が悪い方だ。嗚咽まで漏らしてしまう。
『も・・・し・・・・帰ってこなかったらぁ・・・・・どうしよ・・・・・・ほんとは・・・・・私がやらなきゃいけなか・・・ったのに・・』
途切れ途切れにしか言葉が出てこない。涙を止めようと頑張ってみるが、結局ただの無駄骨だ。
『っう・・・も・・・・嫌だよ・・・・だれかがぁ・・・死ぬのは、見たくな・・・・い』
土「大丈夫だ、あのバカは死なねぇ。お前が一番知ってんじゃねーか」
トシは私を抱き寄せるとそう呟いた。
・・・・・逆効果ですよ?それ・・・・・・
『なんでこんな時に限ってそんなこと言うのよ!バカァァァ・・・・』
土「は!?ちょ・・・・待て!瑠維!何で更に泣くんだよ!?」
『そんなの私にもわかんない~・・・・・・ぅう・・・・』
トシの言った通りだ。
あいつは、期待は裏切らない。
そう言ったのは誰だったっけ?紛れもない私です、はい。
あのバカは信じるに値する男。そう考えたのは私だけじゃない。いつも昔からそうだった。
なら、
信じる
私は自分にそう言い聞かせた。