第31章 約束は守りましょう
それから私は休む間もなく働いた。
全部隊の作戦の指揮から細々とした雑用、裏切り者の始末なども全部私が受け持った。
そうでもしないと、私の心が持ちそうになかったのだ。
戦争は中盤戦へと差しかかった。
圧倒的に私達の方が有利で、勝利は目前。
後は敵の大将を取るだけだった。
『晋助、案外この戦、簡単だったわね』
今私は自室にて、晋助の弾いている三味線を聞いていた。
私の呟いた言葉に晋助は手を止めた。
高「どうだかな。まだ終わっちゃいねェからどうとも言えねェだろーが」
『そうだね・・・・・・・・・ねェ・・・・銀時やヅラ達と・・・・話した?』
高「話す必要なんざねェだろう。俺はあいつらとは・・・・・」
『私と晋助は違うもんね。あの二人・・・・あ、坂本さん忘れてた。三人とは』
晋助は興味ないようにまた三味線を弾き始める。
私はそれを聞きながら考えていた。
銀時のこと、ヅラのこと、坂本さん・・・・・みんなのこと。
『戻れないんだよね・・・・・先生が居た頃には・・・・』
晋助はそれには答えない。
『楽しかったよね。バカばっかりしてさァ・・・・怒られたっけ?あ、ヅラが近所の未亡人に恋したりとか・・・・・あったよね?』
高「・・・・ああ」
『あの時はまだ・・・・子供だったよね』
高「・・・・・・・」
『失ってから気付くんだよね。大切なものも、大切なことも・・・・なんでだろうね?』
今回の事はその二の舞。また失ったんだ。
本当は一緒に居たかった・・・・また私のバカのせいで・・・
『バカだなァ・・・・私って・・・・こんなことぐらいしか・・・・してあげられないんだよなァ』
高「後悔してんのか?」
『当り前でしょ?これなら・・・・銀時と一緒に居るべきだった』
高「・・・・・・そう思うならそうすりゃぁ・・・」
『出来ないでしょ?神威が居るんだから』
高「おめェならあのガキぐらい、何とかなるだろ」
『まぁね・・・・でもさ、ほっとけないんだ。あいつも悲しんでる。誰にも見られていなかった・・・・だから私があいつを見ててあげるの。醜く歪んだ愛情でも・・・・受け止めてあげたいんだ』
それがたとえ、私の身を滅ぼすことになっても・・・・
『私はあいつの傍に居る』
私は自分に言い聞かせるように言った。