第29章 カリスマ性は大事
私達はあの場を後にした。
向かうべき場所は晋助の居る京都。でも何故だろう?
どうしてこんなにも・・・・後ろ髪がひかれるんだろう?
その理由は一番わかっている。でも・・・・解りたくないんだ。
『ホント・・・・何が鬼の副長よ。どこが鬼なのよ・・・・・どうしてあんなに・・・・・』
優しいの?
その言葉は発せなかった。その言葉を紡ぐだけで涙が出てきそうになるのだ。
私は真選組を裏切った。それも酷いかたちで・・・・・
それなのに何故私の幸せを願ってくれるの?
私はミツバさんの代わりじゃなかったの?
私は一番にはなれない・・・・・そう思っていた。
それなのになぜあんなにも優しい言葉をかけてくれたの?
どうしてあんなにも優しく微笑んでくれたの?
やっぱり・・・・・綺麗すぎるよ。
こんな私に、あんな言葉をかけてくれるなんて・・・・・
あの微笑みに負けない位、綺麗な笑顔が私には浮かんでいたんだろうか。
あの言葉に私は自然と笑顔が零れたんだ。
それは未だに愛している証拠。
だからこそ・・・・・戻れないんだ。
傷つけない為にも、失わない為にも、私はあそこには戻れない。
『神威』
神「何?」
私は神威の名を呼ぶと微笑んだ。
『私には・・・・神威でちょうどいいのかもしれない・・・・ね?』
神「それどういう意味?」
幼さの残る顔で神威は私をほんの少し見下ろす。
ああ・・・・・大きくなったな・・・・とかしみじみ思ったりする。
『そのままの意味よ。神威が居てくれてよかったって話』
神「それはあの黒髪の人の代わり?」
『意地でも土方って言わないのね?』
神「遅めの反抗期だよ」
『あんたはいつも反抗期でしょ?』
神「そうかな?姉御には違うと思うけど?」
『なら無理やり連れ戻すことはない・・・・・』
神「仕方ないだろう?姉御に傍に居て欲しかったんだから」
神威はそう言うとそっぽを向いてしまった。
その耳はほんのりと赤く染まっていた。
『自分で言って自分で照れてやがんのォ~』
神「うるさいな//////ほら早く行こう?」
神威は先に行ってしまった。
顔を赤くしながら・・・・・
『あ~・・・・弟みたい・・・・てか、神威と総悟って似てね?』
私はほんの少し、軽い足取りになりながら神威の後を追って行った。