第25章 ありがとう。って何か寂しくない?
『何の用かしら?河上万斉殿?』
私は人並み外れた場所に来ていた。
誰も知らない、私だけの秘密の高台。そこから江戸を見下ろしながらそう言った。
河「やはり気付いておったか・・・・」
『当り前でしょ?』
近くの木陰から、河上が出てきた。
『・・・・何の用?』
そう聞くと、河上はフッと笑った。
河「聞かなくても見当は付いているんでござろう?」
『まぁね・・・・・でも、今さらじゃない?・・・・・私を連れ戻そうとするだなんて・・・・』
いつか来るとは解っていたが・・・・・来ないんじゃないかとも思っていた。あまりにも日が経ち過ぎていたからだ。
河「提督殿からの命令で・・・・・」
『神威ね・・・・・』
噂では聞いてた。
だが、何のために?
・・・・・・そんな事はどうだっていい。私の気持ちは只一つ。
『断るわ』
河「そう言うと思っていたでござる」
『なら何故一人で来た?』
その問いかけをした時、微かに紫煙の香りが漂った。
それは懐かしいもので、思わず体をこわばらせた。
『・・・・一人ではなかった・・・・・か』
そして私はその香りがする方に向いた。
そこから現れたのはもちろん、あの男・・・・・・いや、男たちだ。
高「よぉ・・・・・俺らの存在に気付かねェとは・・・・・」
神「平和ぼけしてるんじゃないの?姉御」
晋助に神威、そして第七師団メンバーだった。