第24章 将軍は案外順応だ
茂「私には攘夷というものをする意味がわからぬ・・・・・ずっとそう思っていたが・・・・」
上様は私の握りしめている手をそっと包み込んだ。
茂「そのように・・・・・大切な者を失われる気持ちというのは、どれほどまでに苦しいことかわかるつもりだ」
『上様・・・・』
茂「片栗虎、警察機構全軍を引き連れてはくれまいか?」
上様はいつのまにやら来ていた、松平様に声をかけた。
茂「伯父上は、反乱を起こした。それを取り締まるのは警察の仕事であろう?」
松「フッ・・・そうだな。近藤!トシ!行くぞ」
松平様はそのままどこかに向かった。
『ありがとうございます。・・・・直に見廻り組も合流する事でしょう』
私はそう言うと、上様の手を外した。
茂「そなたはどこに?」
そのまま部屋を出ようとする私に、上様は声をかけた。
私の手からは血が流れていた。その場所を、もう一度思いっきり握りしめ、こう言った。
『少し気になることが・・・・・ですが心配などは必要ありません。・・・・すぐに・・・・戻ってまいりますので』
解っていた。
このまま行くと、何が待ち受けているのかぐらい。
でもこれは、いずれ来ることだった。
それが今日になっただけ。
私は一歩足を踏み出した。
その先に何があるのかも・・・・私はその時理解していなかった。