第23章 女の執念はおそろしい(一国傾城篇)
私は今、絶賛不機嫌中だ。
地球に来てからここまで不機嫌になったことはないだろう。
なぜ?それは当り前だ。なぜなら私の目の前で優雅にコーヒーを飲んでいるのは、私にとって生理的に受け付けない存在だからだ。その存在とは・・・・・
佐「・・・・という事なんですが。どう思われますか?舞鬼神殿?」
『あ、すいませーん。聞いてませんでした』
佐「聞いてなかったというよりも、聞く気がなかったと思いますが」
まぁいいです。と再びコーヒーに口を付ける。
なにを企んでるのかは知らないが・・・・・こんな風に呼びだされると気持ちが悪い。
『・・・つまり面倒なことに派閥問題が起こっている・・・・・いや、一人の女の争いが起きる可能性がある・・・・そういうわけですか?』
佐「聞いていらしたんですか?アホ面だったのでまったく解りませんでした」
私は額に青筋が浮き出たのが、自分で解った。
『私は元々、こういう面なんです。エリートとは生まれも育ちも違うんです。すみませんねぇ、気分を害されたのなら帰られたらいかがでしょうか?』
というより帰れ!そんでもって、私の前にその面をちらつかせるな!
佐「アナタは頭がそれなりにいいので」
私の裏も取れない奴が、何言ってんだ?
佐「きっと今ので解ったかと思われますが。解らないのなら、エリートによるエリートを作る為の・・・・・」
『結構です。・・・・・手を打ってみますが・・・・どうにもならない事もこの世にはあるんです』
佐「それは元より承知しています。我々では動き辛いのです。かといって、真選組にお願いするのも癪に障ります。なので元攘夷志士だった方ならお願いできるかと思いまして・・・」
『・・・面倒事に首を突っ込みたくないのですが・・・・一人の女の為に国家が転覆するとなると・・・・これほど面白いものはありませんし・・・・』
佐「くれぐれも無理をなさらないように」
佐々木はそう言うと、呑み終えたカップをソーサーにもどし、立ち上がった。私も立ち上がる。
佐「連絡用にメアドを教えてもらえませんか?色々と不便でしょうし」
『ご心配なく。私はほとんど携帯を使いませんし、基本メールはガン無視なんで』
私はフイと横を向いた。そしてずっと気になっていたことを言った。
『余談ですが・・・・・カレーの染み・・・・付いてますよ?』