第22章 今はnow、昔は・・・・・・昔?
私は昨夜の跡地へと向かった。廃ビルはほとんどが崩れ落ちており、瓦礫の山と化していた。
そんな中を私は歩いていく。少々足場が悪いが、気にするほどではない。
しばらく歩いていくと、見つけた。
『瓦礫の上で釣りをする怪物殿に、壊すことしか脳のないテロリストさん?こんなところで密約会議ですか?』
私の言葉に振りむいたのは二人の男だった。
一人は烏をドーナツで釣っている男。見廻り組局長佐々木異三郎。
そしてもう一人は、笠をかぶり、派手な着物を着ている男。攘夷浪士の中でも最も過激で、最も危険な男・・・・高杉晋助。
佐々木はこちらに一度は眼を向けたが、すぐに釣りを再開する。晋助は私を見ると、妖艶に笑って見せた。
高「真選組一番隊隊員の藤間瑠維じゃねぇか。こんな所に何しに来たんだぁ?」
『わざわざ遥か彼方の宇宙からやってきた恩人に挨拶に来たのよ』
私もそう言い笑う。
晋助は意外そうな顔をしたが、すぐに喉を鳴らし、笑った。
高「ククク・・・・恩人か」
『春雨の事・・・・噂で聞いた。・・・・神威を・・・第七師団を助けてくれてありがとう』
すんなりと頭を下げた。だが晋助は、私の顎を掴み、引き上げた。
高「あのバカと会わせたのが間違いだったな。あんなにも見事で美しかった・・・・そんなてめーが居なくなってやがる。笑ってでも見え隠れしていた、鋭ェ牙がもう見えやしねェ」
『・・・・・・・』
高「戻ってこい瑠維。こんな所で腐ったらもったいねぇ・・・・」
晋助は顎から手を外し、私の髪をなでる。まるで昔のように・・・・・
だがその瞳は、私のことを映してなどいなかった。見えるのは何よりも恐ろしい光。
私は晋助の手を払いのけた。