第18章 昔の事を語っている奴は、たいてい寂しい奴だ
私は廊下の床を大きな音をたてて進んでいく。
一目見れば私が不機嫌なことくらい解るだろう。それほど私のはらわたは煮えくりかえっていた。
『バカにすんじゃねぇぞ・・・・・絶対あの男はゆるさねェ・・・・』
そう呟きながら私は真選組の隊服に袖を通した。
そのまま隊服を着終え、また廊下を歩いていく。今度は玄関に向かって・・・・
その途中、全身が映る鏡を見た。
その中にいる私の顔は酷く歪んでいた。
眼には神威と同じような光が宿り、目つきも鋭い。
『・・・・昔の顔を見ているよう・・・・』
私はそう呟き、鏡を拳で思いっきり殴った。
大きな音をたて、鏡が割れる。足元には割れた鏡の残骸が残っていた。
『永松俊介・・・・・あの男、黙らせるためなら舞鬼神に戻ろうが、団長に戻ろうが関係ねぇ・・・』
握りしめた拳がミシミシと音をたてる。強く噛みすぎた唇からは血が流れ落ちる。
『アイツには死んでも語らせねェ』
そして私は振り返る。
『そういう事なんで、引きとめても無駄ですよ』
隊士たちが隠れていることは解っていた。
おずおずといった様子で出てくる。その中にはトシも近藤さんも総悟も含まれていた。