第20章 側にいたい
そのレオ姉も黛さんの姿を見つけることはできなかったため、後半の言葉は小さく聞こえた。
「退場んときも、気を付けていたけど、それっぽい姿を見なかったんだよなぁ」
「私なんて、黛さんを見つけるのは得意なはずだったのに…」
永ちゃんは後頭部をポリポリ掻きながら、私は残念そうな表情を浮かべながらぼやく。
「結局引退式の後で皆で飯に行ったきり、全然見ないんだよな、俺」
「俺もー。レオ姉はカスミンの留学騒動の時に一回見たんだよね?その時も俺は見なかったし」
「あら、アタシだってほんの一瞬だったわよ」
「…その節は、ご迷惑をおかけしました」
私たちがそれぞれ言っていると、征十郎はその光景を微笑ましく眺めていた。