第20章 側にいたい
「華澄ちゃん」
征十郎を待っている間、体育館の隅で座り込んでいた私の隣にレオ姉が腰を下した。
「もう二度と勝手なマネはしちゃダメよ?」
「はい…ごめんなさい」
私がシュンと項垂れると、レオ姉はふふっと笑いだす。
「華澄ちゃんは本当に皆に愛されてるわね」
「?そう…ですか…?」
「ええ。じゃなきゃあの部員たちがこんなに慌てることなんてないでしょ?」
勿論アタシも華澄ちゃんが大好きよ。と付け加えながらレオ姉は微笑む。
私も…。
「私も…バスケ部が大好きです」
大好きだ。
ここにいたい。
ずっと皆のマネージャーを続けていたい。
「(そっかぁ…私はとっくに洛山の一員だったのね…)」
そんな簡単なことにも気づけなかった。
今更かもしれないが、洛山バスケ部は私にとって大事な居場所。
大切なものを手放そうとしていた自分を殴ってやりたい気分。