第17章 もうやめて
「んーにゃ、そんなこったろーと思ったよ」
予想外の出来事ではない、としてコタちゃんはテツ君も躱した。
「なっ…ここで…」
コタちゃんがテツ君を躱した瞬間、伊月さんは手を伸ばした。
「っぐ…ぬうおおっ」
あきらかに死角だった。
先の先まで読んでいた伊月さんだったが、それをコタちゃんの反射神経が上回り、この勝負はコタちゃんの勝ち…のように見えた。
「っ!違うわ…コタちゃんっ」
「…けどいいのか?そこ、猛獣危険の立入禁止区域内だが…」
伊月さんは端から自分ひとりで止めようなんて思っていなかった。
上手く誘い込まれたコタちゃんのシュートは火神に弾かれる。
「なんだと!?」
さらにルーズボールを拾ったのはテツ君。
一気にゴール下の小金井さんまでパスを出した。
「コガ!パス!!左後ろ!!」
「え!?」
「…んもうっ、バラさないでよ!!」
「おわわっ、あっぶねー!」
伊月さんの声でブロックし損ねたレオ姉が言った。