第17章 もうやめて
だが、そこに征十郎が歩み寄る。
「…赤司?」
「玲央たちの言う通り、先程までのプレイは失態だ。下げるのが当然の選択だろう。だが、お前の力はまだ必要だ。下げたりするものか」
「…え?」
「なっ…!?」
征十郎の言葉に、誰もが驚きを隠せずにいた。
「ちょっと…え?赤司!?」
「火神がゾーンに入っている間…暫く僕の動きは制限されそうだ。パスを出す。OFは頼むぞ。洛山の勝利のために期待しているよ」
ポン、と黛さんの肩に手を置いた征十郎。
その表情は、何を考えているのかわからないようで、冷たく、私の顔から血の気が引いてゆく。
「(…違うわ…期待なんてしていない……あなた、黛さんをどうするつもりなの…!?)」
『T・O終了です』
試合再開、洛山からの攻撃。
黛さんは試合に出続けていた。
征十郎が言うのなら、と異を唱える者はいなかった。
そして、征十郎対火神。
それを見た黛さんは征十郎の背後にまわり、パスを待った。