• テキストサイズ

青春あやまち論2【黒子のバスケ】

第15章 洛山のマネージャー




「…藍川さん」


アップ終了時間が迫り、ボールを片づけ始めていた私の元へテツ君が駆け寄ってきた。


「昨日は大丈夫でしたか?」

「ええ…迷惑をかけてごめんなさい。どうにかなったわ」


笑う気力なんてなかったけど、今できる笑みを張り付けてテツ君に微笑みかけた。


「藍川さん。僕は正直、あの頃のあなたが嫌いでした。皆がやってることを受け入れ、ただ傍観しているあなたが」


真剣な顔で言うテツ君。

あんなの嫌われて当然だ。

あの頃の私は、何もできなかった。

ただ…傍観して、傷つくテツ君とさっちゃんを見て見ぬフリばかりだった。


「でも気づいたんです。傍観していたのは藍川さんだけじゃない…僕も同じでした。そして、あなたは僕以上に苦しんでいたんだと」

「テツ君…」

「僕が必ず赤司君をあの頃に戻してみせます。待っていてください」


力強く言い放ったテツ君の表情は、あの頃のもので、私もフッと笑みを零した。


「…お願いします。もう…テツ君しかいないの」


私は深々とテツ君に頭を下げた。

彼が、最後の望み。


もう一度、あの頃の征十郎に…。

/ 422ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp