第14章 できないわ
『休憩終了です。第二クオーター始めます』
アナウンスが鳴り、また五人はベンチを立ち、コートへ戻る。
「舐めるなよ、赤司」
洛山のベンチ近くで、真ちゃんは征十郎に低い声で言った。
「第一クオーター丸々様子見とは随分とのんびりしているな。まさかお前の『眼』を使わずに勝とうなどと思っていないだろうな?」
「舐めてなどいないよ、真太郎。寧ろこの上なく慎重に進めているくらいだ。切り札をそう簡単に切るわけにはいかないさ……ただし」
一瞬。
ちらりとだけ私に目を向け、征十郎は続けた。
その目は冷たかった。
「切らずに終わってしまうかもしれないな、このままでは」
「…なんだと?」
始まった第二クオーター。
真ちゃんにはレオ姉と黛さんのダブルチーム。
それを予想していたのか、高尾君のパスは何の迷いもなく宮地さんへ渡る。
「ダメですね…これは抜かれます」
「……」
宮地さんと向かい合ったコタちゃんの表情を見た私は、小さくため息をつきながら呟いた。
コタちゃんの悪い癖、それは相手を舐めてかかること。