第13章 歯痒い…
「…いーの?ほっといて、って言うより、突き放すに近くねーか?」
小さくなってゆく私の背中を見つめながら高尾君は真ちゃんに言う。
「…藍川のマネージャーとしての才能は天才だ。その天才が現在、赤司の元にいる。各個人でも手を焼くというのに、二人揃ってしまえば、それはただの脅威なのだよ。それをわかった上で、赤司は藍川を誰の目にも触れぬように隠し通してきた」
「は?」
「馬鹿め。それほど藍川を己の手中に収めてきた、ということなのだよ。この件、下手に首を突っ込めば、それこそ赤司の逆鱗に触れることになる。…可哀想だが、ああするしかないのだよ」
「…ふーん」
冬の空は星がとても良く見える。
だけど、今はどんなに綺麗な星空を見ても、私の目には霞んでしか見えない。
私が見たいのはこんなものじゃないの。
私が見たいのは…あの頃の、征十郎が笑ってた頃の澄んだ空なの…。