第13章 歯痒い…
なんてことを思い出していると、声がかかる。
「藍川ー、そろそろベンチに入る準備するぞー?」
洛山の試合の行われるコートの前試合の残り時間が五分となり、樋口先輩が私を呼びに来た。
「わかりました。行きましょう」
さあ、私の高校初の全国の舞台。
そして…私の勝負。
*
洛山の初戦は勿論、圧勝。
だが、今日の試合も征十郎は出場しなかった。
出る必要がない、と答えるのは目に見えてわかっているので、あえて理由は聞かなかった。
「他の皆も勝ち上がったようね」
「ああ」
洛山の前の時間帯に行われていた誠凛も陽泉も無事勝ち上り、その後の海常も秀徳も勝ち残った。
「…祥ちゃんの福田総合も残ったわ。このまま行けば黄瀬と当たるわね。別に黄瀬の試合なんて興味はないけど」
「相変わらずだな」
征十郎は少し笑ったようにして私を見た。