第12章 本当にそうかしら
何で……どうしてそこに…テツ君が?
桐皇側のコートに、ボールの行く先に居たのは。
桐皇の選手でもない…テツ君。
残り3秒を切り、テツ君に弾かれたボールは火神の手の中へ。
「アリウープ!」
大ちゃんのブロックを躱したボールは、ネットをくぐり、得点へと繋がった。
鳴り響くホイッスル。
「試合終了ー!!」
誠凛対桐皇戦、制したのは誠凛。
「あらら。大ちゃん、負けちゃったわね……って、征十郎?」
試合が終わり、倒れかけるテツ君を火神が支える。
その様子に目もくれず、征十郎は足を踏み出し、私に背を向ける。
「試合が終われば、その後の馴れ合いになど興味はない。僕は先に帰るとするよ」
「……」
振り返ることもなく、冷たい言葉を残した征十郎は、そのまま会場を出て行った。
私は、その征十郎の背中をただただ見つめるだけだった。
目下のコートではテツ君と大ちゃんが中二の全中以来の拳を合わせていた。