第12章 本当にそうかしら
このまま永遠にこの時が続けば、なんて考えていると、二人の決着の時は訪れた。
「ぶち抜いたぁー!」
「何ぃー!?あの青峰が…!?」
「誠凛、再び3点差ー!!」
ギャラリーからは驚嘆の声があちこちと聞こえる。
「わお…」
私も驚きの声が漏れる。
火神に抜かれ点を決められた大ちゃんは、すぐにでもやり返そうとするが、火神のDFを抜けない。
「タイムリミット、だな」
ゾーンは100%の力を発揮すると同時に、反動も大きい。
自らの意志で、しかも火神は背負っている思いの違いから、大ちゃんのゾーンは底をつき始めた。
そして、火神は大ちゃんのシュートを弾き飛ばし、そのまま日向さんのレイアップ。
「1点差…!」
「残り30秒…誠凛ついに、1点差ー!!」
抜かれた大ちゃんは一瞬の放心状態の後、これまで以上に目を鋭く光らせた。
まだまだここからが本当の勝負、ね。
その言葉通り、大ちゃんはゴールの裏側からシュートを放ち、ボールはネットをくぐる。
「はあ?相変わらず無茶苦茶だわ…」
だが、ここで決めるのは、流石は『キセキの世代』エース、といったところだろう。
そして苦しいのは誠凛。
残り16秒で点差は3点。
仮に3Pを決めて延長したとしても、もう誰にもそんな体力は残っていないし、それこそ敗北決定だと言ってもいい。