第3章 似てるの
「…テツ君、またバスケを始めたらしいわね」
清書し終えたルーズリーフの束をファイルにしまいながら私は言った。
「やはりそうなったか」
「ええ。今度、黄瀬のいる海常と練習試合をするらしいわ」
「相変わらず情報が早いな」
「さっちゃんには負けるわよ」
この情報は母から聞いたもの。
京都という遠い地にいるため、強豪校の集中する関東の情報はどうしても遅れてしまう。
それ故、関東にいる『キセキの世代』とテツ君の情報をできるだけ集めてほしい、と母に頼んだのだ。
母だけではない。
優ちゃんも私が頼むうちの一人だ。
現在私はアメリカにいる、と思い込んでいる優ちゃんに「日本の高校バスケの情報が欲しい」と言えば、彼女は二つ返事で引き受けてくれた。
内心、親友を騙して駒のように使うことに心が痛んだが、これも洛山のためならば手段を選んでいる暇はない。