第9章 条件があるわ
大ちゃんと黄瀬の試合は見たし、次はあっくんの試合でも見よう、と陽泉の準々決勝を選択する。
「相変わらず、やる気のない顔ねぇ。それでも強いんだけど…」
あっくんはバスケが嫌いらしい。
面倒だとも言っていた。
それでも、その嫌いなバスケで征十郎と勝負して私を奪おうとしているのだから、彼の考えていることはよくわからない。
時々、彼の脳みそは本当にお菓子でできているんじゃないか、と思うことがある。
「身長もまた伸びてるみたいだし…ちょっとの動きが体に負担をかけてるわね」
試合展開は、先程見た海常対桐皇戦よりは物足りない感じはするが、あっくんの動きは流石の一言。
やる気がなくてこれだけ動けるのだから、本気を出した時は一体どうなるのやら。
「本気は…征十郎との対戦で出すのかしら?」
あっくんは、征十郎との勝負を好まない。
だが、今回は話が違う。
もし、このまま明日の試合…陽泉対洛山戦で本気を出してしまえば…。
「膝が壊れる可能性があるわ」
直接、間近で見ているわけではないが、そう確信した。