第2章 想いを馳せて
「こいつ知ってるぞ。新選組と一緒にいる奴だ。」
運悪く薩摩藩士に遭遇してしまうと、真っ先に剣先を向けられる。
その場の圧力だけで気を失ってしまいそうになる。ここには味方は居ない。
震える手を抑えつけ、一歩、また一歩と後ずされば更に距離を詰める薩摩藩士。
やっとの思いで小太刀を抜いた、その時だった。
目の前で誰かが藩士を斬ったのだ。
いや、誰かではない。その姿を、無慈悲なその顔を、大きな背中は、千鶴もよく知っている。
「まさか、こんなところで出会うとはな。」
新選組と幾度も刀を交えては、圧倒的な力を見せつけてきた、風間千景の姿に他ならなかった。
敵とはいえ、見知った顔を見て安心したのか、はたまた新手の登場に混乱したか、それとも風間の良心に賭けたのか。
「あの人の所へ!_____の所に行かなくてはいけないんです!」
気付けば口走っていたその言葉。
冷気に満たされながらも熱気を帯びた京の街で、彼の姿を求めた。
新選組。野蛮な本質の内側に、誠の武士としての強さも、優しさも、すべて詰まっている。
だから私は_________