第13章 再会
――――夢を見ていたようだ。
(……?)
意識を取り戻した私は目を閉じたまま夢の内容を思い出そうとする。
けど、なぜかどうしても思い出すことができない。
思い出してはいけない。そんな気がした。
唯一わかるのは、思い出したって、もうどうにもならないということだ。
閉じていた瞼を開くと思いがけない人物と目が合う。
思いがけない人物――――日向真琴は、泣きながら私に抱きついた。
「蒼っ……! 蒼、蒼、よかった……!」
「真琴……? え、なんでここに……」
「はあっ!?」
「え?」
驚きの声をあげたのは、健斗君と……。
「津山さん……」
津山さんだった。健斗君の隣にはシロさんもいる。
二人はなぜ私たちと一緒にいるのだろうか。
いや、そもそも、どうして私は生きているんだ。
聞きたいことがありすぎて何から聞けばいいのかわからず混乱していると、抱きつかれて体を起こせずにいる私に津山さんが話しかけてくる。
「今、そいつのこと、『真琴』って呼んだか?」
「? うん。……名前教えてないの?」
「ああ、こいつらには『宮崎春』っていう、適当に考えた名前教えたから」
バカ正直に本名教えるわけないでしょ、と真琴は笑う。
真琴らしいなぁ、と私は苦笑いを返した。
「彼女の名前は日向真琴(ひなたまこと)。私の幼馴染みだよ」
「……つまり、こいつはオレたちを騙していたということか」
「騙される方が悪いんだよ、バーカ」
「……殺す」
「まあまあ、落ち着いてくださいよ津山さん。相手が何者かわからない状況で、本名を教えなかった真琴は正しいと思います」
むしろ簡単に本名を教え合った私たちがおかしいかと。
まあ、過ぎたことを言っても仕方ないが。