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希望の果てにあるものは

第10章 心情


【少女視点】


宮崎、と黒髪の男に呼ばれて反応が遅れた。


(まあ、とっさに考えた名前なんだし仕方ないか)


正直に本名教えるなんてバカな真似はしない。
こいつらの名前だって偽名かもしれない。そもそも覚えてないけど。
黒髪の男は明らかにあたしを警戒している。
白髪の男は気持ち悪いくらい警戒心というものがない。
ていうか、なんでこの白髪の男はしつこいくらいあたしに構うんだろう。

何度も手を振り払おうとした。
何度もイラついていることをアピールするように睨みつけた。
けど、こいつは何の反応もせず、手も離さない。
触れている肌を剥ぎ取ってしまいたいほど気持ち悪かった。
あたしに触れていいのは蒼だけ。蒼以外に触れられたくない。


(蒼。蒼、蒼、蒼、蒼)


蒼に会いたい。

蒼が知っている人間のことは全員把握している。
けど、こいつらの顔は見たことがなかった。
複雑な気分だ。蒼には会いたいけど、こんな危険なところにいてほしくないという気持ちもある。蒼がここにいるというこいつらの言葉をうのみにしたわけじゃない。でも、たぶん、こいつらの言ってることは……。


「蒼……」


あたしが唯一信じられる人の名をぽつりと呟いた。

 
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