第8章 二人
【シロ視点】
女の子が震えてる。
泣きたいのを我慢して透と僕を睨んでる。
透は謝ったけど、これじゃあ許してくれないのかな……。
「く、そ……蒼……蒼……」
ふらふらと立ち上がって、歩き出そうとする女の子。
何度も何度も蒼のことを呼んでる。
この子にとって、蒼は本当に大事な存在なんだね。
だけど、だからといって、この子をひとりぼっちにする理由にはならない。
「僕たちも一緒に行くよ」
「は……?」
「おい、僕“たち”ってまさかオレも……」
「透も一緒。蒼と健斗のこと、探す」
女の子は嫌そうな顔で僕を見てる。
透は「誰が行くか!」って大声で怒鳴ってる。
なんで、そんなに嫌がるんだろう。一人より三人のほうが寂しくないのに。
それにバラバラに行動するより安全だと思う。
透と女の子の手をとって歩き出す。
僕の力は強いようだから、女の子にも透にも負けない。
手をひっぱって無理矢理連れてくのは嫌だけど、こうでもしないと二人は一緒に行こうとしないから。
さあ、蒼と健斗を探しに行こう。
「離せ! なんでこんな人殺しとっ……!」
「まだ殺してねぇ! おいシロ、せめて武器拾わせ……おい、聞いてるのか!」
二人が何か言ってるけど、気にしない。
こうして一緒に歩いていれば、きっと仲良くなれる。
蒼と健斗、今、どこにいるのかな……無事だといいなぁ……。