第7章 離別
痛む左肩を無理矢理動かして銃を両手で握りしめる。
力が入らないためあまり意味はない気がするが、片手で撃つよりはマシだ。
化け物の眉間に狙いを定め、先程と同じように引き金を引く……!
「い゙っ――――!!」
肩の痛みに思わず瞼をきつく閉じるのと同時に、破裂音が廊下に響いた。
目を閉じているため見えないが、きっと化け物の頭か体が弾け飛んだ音だ。
痛い。けど、私は健斗君を守ることができたんだ。……よかった。
「蒼ちゃん!! だ、大丈夫? どこか痛いの? あ、ああ、どうしようどうしよう、あ、僕、どうすれば……」
「お、落ち着いてよ……っ、私は、大丈夫だから……」
「ごめん、ごめんね、僕のせいで……ひっく、うう……」
健斗君はとうとう泣き出してしまった。
慰めたいけど、私は私で両肩の痛みが酷く、それどころじゃなかった。
両手で持っていたとはいえ、左手は肩の痛みで力が入らず銃に添えただけだったから、実質右手だけで撃ったようなものだ。
左肩も右肩も両方痛い。 銃は手にはなく、床にぽつんと置かれている。
「け、健斗君、泣かないで。ね? ほら、私は大丈夫だから」
「……泣いてる。すごく痛そうな顔してる。全然、大丈夫じゃないよ……!」
「う……ごめん、大丈夫ってのは嘘だった。けど、泣かないでよ……」
泣かれるとどうしていいかわからない。
腕が上げられないため、頭を撫でてあげることもできない。
背中をさすってあげることも、涙を拭いてあげることも、何もできない。
今の私にできるのは、泣かないでと声をかけることだけだった……。