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希望の果てにあるものは

第5章 違和感


容赦ないなあ、と私は心の中で呟く。

次々と現れる化け物をなんの躊躇もなく殺す津山さん。
津山さんはなぜか必ず頭を狙う。
化け物の体はもろいのか、銃弾が通過した部分が一瞬で肉片と化す。
あの頭が破裂する瞬間がたまらなくグロテスクだ。まあ多少は見慣れたが。
健斗君は私の腕にしがみついて震えている。けど目を逸らそうとはしない。
彼も彼なりに必死でこの光景に慣れようとしているのだろう。
そんな健斗君を素直にすごいと思った。


「……すごい、けど、あんまり強く掴まないでほしいなあ……」

「ご、ごめっ、ごめん……」


しがみつかまれている右腕が痛い。
健斗君、小柄でか弱そうなのに意外と力がある。
女の私より背が低く、腕もか細いのに、やはり男の子と言うことか。
いかにも学校でいじめられていそうな感じだったから心配していたが、これならきっと大丈夫だ。健斗君なら腕をへし折るのも容易いだろう。

そして今まさに、私の腕はへし折られそうになっている。


「うううう怖いいいい……」

「うん怖いよねグロいよね私も別の意味でこわ痛たたたた! 折れるっ!」

「ひいっ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」

「そ、そんなに謝らなくていいよ、だからもう少し力を抜いて……」


なんとかそう告げるとようやく腕の圧迫感が弱まった。
あのまま何も言わなければ本当に腕が折れていたかもしれない。
涙目でごめんなさいと繰り返す健斗君の頭を軽く撫でて落ち着かせる。
もしも弟がいたらこんな感じなのだろうか……。

そしてこれだけ騒いでも見向きもしない津山さんはさすがと言うべきか。

 
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