第15章 現実
ごめんなさい。
弱くて、助けられなくて、逃げて、ごめんなさい。
泣いて叫んで何度も『ごめんなさい』と繰り返す。
何十回、何百回繰り返しただろうか。
いつからか、誰に謝っているのかすらわからなくなってきた。
けど、わからなくなっても、止めることはなかった。
いつまでもいつまでも泣き叫んで。
涙が出なくなった。それでも止めない。
声が出なくなった。それでも止めない。
ずっと頑張って耐えてきた。
泣き叫ぶ暇があるなら少しでも早く出口を見つけようって。
みんながいたから耐えることができた。
みんながいたから、嫌な現実から目を背けられた。
体の異常からも狂った実験のことからも目を背け続けられた、のに。
壊れてしまった××さん。
目を背けることで守ってきた自分の心が、あっけなく壊れた。
あれ?
××さんって、何だっけ。