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希望の果てにあるものは

第15章 現実


「……はあ」


津山さんを背負って歩く。
背負っているのは上半身だけで足は相変わらず引きずっているが。
部屋の扉を破壊され、移動することにした私とシロさん。
わずかでも知性があるならドアノブを回して入ってきてもらいたいものだ。
……いや、それはそれで困ることになるが。

部屋を求めて廊下をさ迷っていると、津山さんの体がぴくりと動いた。
驚いた私は思わず掴んでいた津山さんの手を離す。
私の背中にもたれかかっていた津山さんの体はズルズルと床に崩れ落ちる。
うつ伏せになった津山さんを仰向けにして声をかける。


「津山さん……? あの、起きてます?」

「…………ぁ」

「津山さん!」


津山さんはゆっくりと瞼を開く。
意識を取り戻した津山さんを見て私は喜ぶと同時に安堵した。
無事でよかった。目覚めてくれてよかった。


そんな私の思いは、一瞬で砕かれる。


「…………え?」


津山さんの手が私の首に触れ、力を込められる。
首をぎゅっと握りしめられ息ができない。
津山さん、と言いたくても、喉からは掠れた声しか出なかった。
首を絞める力は徐々に強くなっていき、生理的な涙が目からこぼれ落ちる。


「ぐ、っ……ぁ……!」

「…………」


津山さんの力は強く、いくら抵抗しても手が離れることはなかった。
涙でぼやけた視界に津山さんを腕を掴むシロさんが映る。

もうダメだと思ったその瞬間、急に津山さんの手から力が抜けた。

 
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