第21章 ただいま現世
「――なんか、ゴメンね。長谷部」
「いえ、こちらこそ」
あぁ、そういえば一期さんにも謝ってないや。
後で謝っとこう。
「五虎ちゃん、パーティー楽しかった?」
「はい、とても楽しかったです……!!」
にこり、と笑う五虎ちゃん。
頭を撫でると、柔らかな髪の感触が心地いい。
いつも大人しい虎くんも、今日は元気にはしゃぎ回ってる。
余程楽しかったのかもね?
僕が椅子に座ると、当然のように膝のように座る五虎ちゃん。
僕が、アイスケーキを食べようと思って口に運ぼうをすると「あーん」と五虎ちゃんが口を開くんだ。
可愛いから許しちゃう!
「美味しい?」
「はい、美味しいです!」
もう一口運ぶと、五虎ちゃんがぱくり、と食べる。
雛に餌をやるみたいで、可愛いなぁ、もう。
「こら、五虎退。それでは姫様が食べれませんよ」
ありゃりゃ、一期さんに怒られちゃった。
五虎ちゃんは、少し泣きそうな顔になり、僕に抱きつく。
頭を撫でれば、五虎ちゃんが僕の体に顔を埋めてくる。
可愛いなぁ、五虎ちゃんは。
「姫様、あまり甘やかさないでください」
「まぁ、僕は怒ってないし、いいじゃん?」
「もうケーキはほとんど残ってませんよ?」
「へっ!?」
一つではなく、複数買ってきたはずのケーキ。
でも、刀剣達がペロリと食べちゃって、全然残ってないらしい。
最後の一つを、加州くんがキープしてくれたのか……。
お皿に乗せて、冷凍庫の中に入れてくれた。
って、もしかして優ちゃんのぶんもない?
あれ、優ちゃんに残さないとまずいよね?
「ごめんね、足りなかったみたいだね」
「う、うん。まぁ仕方ないよ」
僕のぶんは、ほとんど五虎ちゃんにあげちゃったから、結局食べれたのは一口だけ。
でも、今剣くんが「ひいさま、あーん」ってわけてくれた。
結構、今剣くんって優しい子だなぁ。