第21章 ただいま現世
その後、優ちゃんは電話でなにか話してた。
無駄だぞー。
だって、今回ばかりは嫌なことが積み重なった結果だもんね。
* * *
数時間後、皆が帰ってきた。
五虎ちゃんが、僕を見るなり泣きだして、抱きついてきた。
どうやら、別の姫鶴からネチネチと虐められていたそうな。
そのせいで、姫鶴は沖田組がお世話をしながら、この家に閉じ込めてたんだってさ。
他の刀剣達にも同じことをして、近寄りたがらなかったそうで。
「まぁ、僕らは昔もこんな感じだったしね」
「口調がトゲトゲしいだけで、話せば案外普通の子だよ」
それは、たぶん君らの性格だからこそ、できるんだと思うよ。
結構、君ら世話好きだってよくわかったし。
「恵ちゃん、ごめんね?」
僕は、さっきからみっちゃん達とは目を合わせないようにしてる。
ここは、スルー検定会場だと思って居ないことにしてるよ。
なのに、目線に入ってこようとするからイラつく。
「恵ちゃん、これ」
面倒臭いな、もう関わってこないでほしいって……。
目の前には、僕が大好きな高級アイスケーキ専門店の箱だ。
みっちゃんがその箱を開けると、見たこともないケーキ。
「季節限定のやつなんだ、どうかな?」
可愛らしい白い猫のモチーフのケーキ。
赤系や白系で統一されたデコレーション。
そして、何より安易に果物を使わず、全部アイスケーキに拘るこの素晴らしさ。
見た目もゴージャスで美味しそうだし、何より高級店の限定品。
「数量限定品のやつを、特別に作ってもらったんだ」
あぁ、久々に見るこのスイーツ。
素晴らしいよね、本当に生きてるって感じがするよね。
なんていうか、帰ってきてよかった!