• テキストサイズ

pieces.~海の悪魔の化身~(ONEPIECE)

第9章 覚醒



「……?」

「……た、い…ちょ…」

名前を呼ばれ、それに応えるようにはやっとの思いで声を絞り出した。

「悪ィ…、俺はこの先…側にいてやれねェ…」

「隊長…?」

「…ぐっ……!お前は、お前なら大丈夫だ…」

苦しそうに顔を歪め、血を吐く。
それでも尚、エースはに笑顔を向ける。

「……隊長!もう……!!」

喋らないで。
そう告げたかったのに、エースはそれを許してくれなかった。

「親父も言ってたろ…お前は一人じゃねェ……」

「……っ…」

「ルフィ…今から言うことをみんなに伝えてくれ……」

「エース…?」




穏やかな顔をしてエースが腕の中で息を引き取った。
それを目の当たりにしてルフィは精神崩壊を起こした。

ジンベエはルフィを抱えて赤犬から遠ざかる。

「お前さんも…!ここを離れるんじゃ…!!」

「私は、ここにいます…」

「しかし…!くっ…!!止む終えん……」

ジンベエはを置いてその場を後にする。

の腕の中には動かなくなったエース。
エースを置いてその場を去るなど、には考えられなかった。



「隊長…居場所になるって言ってくれたじゃないですか……」

返事のないエースには話し掛け続ける。

「私は何処へ帰ればいいんですか…?」



その時だった、大きな銃撃音が聞こえては反射的に振り返る。
そこにいたのは黒ひげ海賊団の一味。



「親父、様……」



目の前が暗くなっていくのが分かる。

エースに続き白ひげまで目の前で失った。
はギリギリの所で精神を保っていた。
本来、ルフィの様になってもおかしくない。

その間にも腕の中のエースは冷たくなっていく。


そこから先の事をはよく覚えていない。

自分と同じ髪色をした海賊が来てこの戦争を終わらせた。
殺気の消えた戦場には虚しさだけが残っている気がした。

その後、の元にマルコとビスタが歩み寄ってくる。


が抱くエースの亡骸を見て顔を歪めた。




この戦争が生んだものはなんだ?

その答えがにはわからずにいた。




/ 91ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp