pieces.~海の悪魔の化身~(ONEPIECE)
第9章 覚醒
体が動かない。
私はまだ成すべき事をしていないと言うのに。
指先から冷えて行くのが分かる。
でもどうしてだろう?
胸の奥の方だけ、燃える様に熱い。
“ここで諦めて死ぬのか?”
誰?
“妾の力を宿す者は既にこの世にお前だけ…簡単に死なれては困るのう”
誰が話し掛けているの?
“致し方ない…今この時だけ妾が表に立つとしようか、お前は暫し眠っているが良い”
声は、私の内側から…?
駄目…眠っている場合じゃないの。
私は進まなきゃならない。
“ハッ…動かぬ体で笑わせるな、今はお前の寿命一年で手を打とうぞ”
貴女は一体…?
何故私の中にいるの?
“何故?何を言うか、妾とお前の繋がりは生まれた時よりの運命…妾はお前に宿る悪魔ぞ”
私の中の、悪魔…?
まさか……。
幼い頃に母に聞かされた事がある。
『私達の中には悪魔がいて護ってくれているのよ』
ただの言い伝えだと思っていた。
能力が発動した後も、その能力自体が悪魔そのものなのだと思っていた。
こんな風に対話が出来るなど知らなかった。
瞼を誰かにそっと押さえられ、目を閉じる。
とても冷たい手だった。
そのまま意識が遠くなる。
“強うなれ、今よりもっともっとじゃ…”
お前の命の灯火はこんな所では消させぬよ。
妾の可愛い…。
お前が真の光をその目に宿すまで…妾はお前の力となろうぞ。