pieces.~海の悪魔の化身~(ONEPIECE)
第7章 マリンフォード
時は少し遡る。
「お前ら何であいつの事、“親父”って呼んでんだ………?」
「………」
食事を差し出すマルコにエースは問う。
本当は羨ましかったのかもしれない。
この船にいればいるほど、心の揺れは大きくなっているのが自分でもわかっていた。
「あの人が…“息子”と呼んでくれるからだ」
「!」
「俺達ァ世の中じゃ嫌われ者だからよい……嬉しいんだなァ…ただの言葉でも嬉しィんだ」
「………!!!」
笑顔で話すマルコの言葉はエースの体に、心に素直に溶け込んでいった。
居場所のあったかさってヤツを俺は知った。
命を懸けて貫きたい信念、大きな目標も見つけた。
「大事な話ってェから何かと思えば小せェ事考えやがって、誰から生まれようとも…人間みんな海の子だ!!」
「………」
「グララララ!!」
初めて“親父”って存在のでかさを感じた。
そして、それを教えてやりてェヤツも見つけた。
「俺がお前の居場所になってやる!」
思い返せば恩着せがましい言葉だったかもしれねェ。
でもあの時のアイツは唇を強く噛み締めて俯いた。
まるで泣くのを堪えているかの様に。
「なァ、隊長補佐って言うからにゃあ、息が合わなきゃ意味がねェ」
「はぁ」
「だから俺の側を一時も離れるなよ!そうすりゃ自然と呼吸だって合う」
「…はぁ」
「やる気のねェ返事ばっかすんじゃねェよ!!」
興味がなさそうには頷き、その背中をエースが軽く叩く。
一人にすると時々遠い目をして海を眺めている事が多い。
ナイフの手入れをしていても、鍛練をしていてもまるで消えちまいそうに見える時がある。
だから俺が伝えてやりたかった。
「!!てめェいねェと思ったら!またマルコと居やがって!!俺の側を離れんなっつったろ!」
「エース隊長」
「…エース、その内に愛想つかされるよい」
「うるせェマルコ!俺は真面目にだな…!」
「……っふ…ふふっ…!」
「「……!!///」」((…笑った!!))
お前が初めて笑った時は心臓が飛び出そうだった。
お前の見方が変わっちまうほどに。
もっと見たいと思った。
俺の隣で笑うを。