pieces.~海の悪魔の化身~(ONEPIECE)
第2章 アラバスタ
「また…っ!あの人はっ!!勝手に…!!」
アラバスタ王国の港町ナノハナ。
ポニーテールにしても背中がすっぽりと隠れてしまうほどに長い鮮やかな赤い髪を靡かせて走る一人の女。
彼女は人を探していた。
「勝手に行動しないでって言ってるのに!!」
美しい顔立ちはぶつけようのない怒りに満ちていて、スラリと伸びた脚は止まることなく前進していた。
走りながら彼女は街の人の話に耳を傾ける。
「あの店でいきなり人が死んだってよ!」
「オイ、まさか砂漠イチゴ…あれを食ったんじゃ!?」
「………!」(いきなり人が死ぬ…?それってあの人の癖が出てるんじゃ…!)
彼女はいち早く噂になっている店へと飛び込む。
店内を見渡すとカウンターに置かれた料理に顔を埋めて動かない探し人の姿があった。
(やっぱり…!)
「おっおい!お姉ちゃん!やめとけ!砂漠イチゴの毒は感染型だぞ!」
周りの客が止めるのを無視してカウンターの男に近付いた。
そして肩を揺すって声を掛ける。
「起きて!起きて下さい!隊長!」
「…………」
「た・い・ちょ・う!!!」
「ぶほっ!!」
突如顔を上げたその男に周りの客達はどよめいた。
驚いていないのは彼女ただ一人。
「もう…目立つ騒ぎを起こさないでって言ってるじゃないですか!」
「んあ…?おぉか、いやー弟探しててよ」
「か…じゃないです!早くここを離れますよ、海軍が彷徨いてる」
と呼ばれた彼女が彼にそう伝えた直後、後ろから低くドスのきいた声が聞こえた。
「よくもぬけぬけと大衆の面前でメシが食べられたもんだな」
二人が振り返った先には海軍のスモーカー大佐の姿。
それを見ては溜め息を溢した。
「ほら言わんこっちゃない…はぁ…」
「白ひげ海賊団の二番隊隊長がこの国に何のようだ、ポートガス・D・エース!及び二番隊副隊長、海の悪魔の化身…」
スモーカーの発言にいよいよ店内はパニック状態となっていた。
「そういやあいつらの刺青(マーク)見たことあるぞ!」
「なんでこんなとこに…?!!」
「……弟をね、探してんだ」
「ほら、見つかったじゃないですか…」
エースもも特に慌てる様子もなく落ち着いていた。