第3章 Bloody dragon
エスメラルダは花束を持ち森へ向かう。
大きな岩も河も軽々と越えていく。
一年の旅を終えまたここに戻った。
そうして11年が過ぎた。
ここはサンド島の東の森。
サンド島の街から離れたこの森に3本の墓標が立つ。
ラファティ・セザン
ラファティ・リオノーラ
ラファティ・ルーザー
エスメラルダの家族。
上から父、母、弟。
この3人は一番最初に影の犠牲となった。
そしてその横には
セノ・ルーラ
ルーカス・ラオル
エスメラルダの親友。
この2人も影に命を奪われた。
エスメラルダは花を手向けた。
「影は見つからなかった。やはり駄目だった。」
無表情のまま呟く。
「私のせいで影はあなたたちに手をかけた。」
しばらく何もしないで佇んでいたがやがて口を開き
「私はもうここには戻らない。」
そして森を後にする。
けじめをつける。
それがここに戻ってきた理由だ。
街へ行き必要な物資を揃えると港へ行った。
そしてドラゴンの姿に変化する。
赤黒くまるで血に染まったような色のドラゴン。
懸賞金 4億1000万ベリーの犯罪者。
ラファティ・エスメラルダ。
またの名をブラッディドラゴンという。
世界政府には追われる身だが支配国家の国王暗殺や海賊狩りなど主に、悪意のない市民は襲うことはないという。
その素性は不明とされている。
彼女は影を探し旅をする。
財宝、名声に興味はない。
それなのにいつしか4億1000万という懸賞金が懸けられた。
しかたない。
政府や海軍の船さえ沈めてしまうのだから。
「次の目的地はタートス島。」
そこには別の目的がある。
リネン遺跡の破壊。
世界政府に守られているその遺跡の破壊。
影を追う手がかりとなるだろう。