第7章 Enlistment
コアラという盾が無くなった。
今度あいつに襲われても自力で逃げるしかない。
好きなら受け入れなきゃ。
好きじゃない!
「もう出歩いていいぞ。」
医師にそう言われ今夜歓迎会が開かれるそうだ。
飲むなら一人で飲みたいのにな。
賑やかなのは好きじゃない。
「メラルちゃんお酒いっぱい用意したからね。」
と目をキラキラさせてくるコアラを見たら断れない。
エスメラルダは海を眺めている。
夕焼けがきれいでまさに今夕凪が起きていた。
「何もすることがないっていいな。」
後ろからサボがやって来た。
「私が暇なのはお前のせいだ。」
あ・・・。
またやった。
「何かできるだろ他に。」
「じゃあ仕事を割り当てろよ。」
気付いてないのか鈍感な奴め。
「んじゃ部屋で俺の相手でも・・・フゴッ!」
エスメラルダはサボに一発ぶち込む。
「却下。」
エスメラルダはコアラの言葉を意識しすぎてサボから遠ざかる。
「おい、何で逃げんだよ。」
「は?いや、別にお前に用はないからな。」
また・・・。
ま、今度も気付かないだろ。
「用がなきゃ・・・今お前って言ったよなぁ?」
バレた。
「それじゃ・・・」
と言って逃げ出そうとするが皮肉なことに今は走れない。
サボにガッシリ腕を掴まれてしまう。
「名前で呼ばないとどうなるんだっけ?」
もう最悪だな。
「私を離せ。」
「ハズレ。こうするんだよなぁ。」
首筋にしかも上のほうにキスマークをつけられた。
「おぉぉぉぉい!何でこんなとこにつける!?隠せないだろ!!」
こんなに上につけられたらどんな服を着ても隠せない。
いや、マフラーでも巻いとけば何とかなる!
「もう一個。」
はぁぁ!?
最初のはバレてたのか!!?
今度は二の腕付近につけられた。
「ッいて!」
そこを擦る。
「名前で呼ばないからだ。」
理不尽だ・・・。
「いい加減に!」
サボの足を踏みつける。
「離せこのド変態野郎!!」
「いってぇ!!」
サボは悶絶する。
「おま・・・また名前を呼ばないで・・・。」
「見くびるなよ。」
と言い捨ててスタスタと逃げる。
「今日の歓迎会覚えてろよ。」
サボはポケットに手を突っ込み小さな袋を取り出す。
「これ酒に入れて飲ませれば・・・」
それは媚薬だった。