第6章 Falsify
「サボ・・・。」
今一番会いたくはない奴だ。
「・・・お前に用はない。帰れ。」
低く殺意を込めた声で言う。
「お前のことが嫌いじゃないならいいんだろ?」
ドアの向こうから言うサボ。
「来るな。顔も見たくない。」
エスメラルダはドアから目を離し、寝返りを打つ。
打撲した場所が下敷きになり痛みが走る。
「うっ・・・。」
「入るぞ。」
ドアノブが回る。
エスメラルダは驚いて近くにあった短刀を持ち出す。
だがサボは部屋に入っただけで近寄ってはこない。
エスメラルダは短刀を構えサボを睨み付ける。
「・・・来るなと言った。」
「あぁ、聞いた。」
サボはその視線をあっさりと受け止める。
「・・・悪かった・・・・・。」
いきなり言ってきた。
「今更何を言う。お前がさっき私とコアラが話しているときにいたのを知っている。今の私は全て偽りだ。」
「知ってる。」
サボは動こうとしない。
「俺のことは怖がるなよ・・・。」
サボは少し寂しそうに言う。
「何を言っているんだ?それは不可能だ。」
「恐怖心っていうのは簡単に消せないもんな。」
「分かっているなら何故そんなことをいうんだ?」
怖がるなだと?
ふざけるな。
私はお前が怖い。
それに変わりはない。
「お前が・・・お前のことが・・・・・」
好きだから・・・。
と、言いかけたそのとき・・・
バン!
「いた!サボ君何してんの!?メラルちゃん今一番あんたに会いたくないんだよ!!!」
コアラが乱入してきた。
「こ・コアラ・・・!」
エスメラルダも驚く。
「さ、出ていきなさーい!」
コアラがサボの袖を引っ張る。
「お・おい、待てよコアラ・・・。」
サボは出て行こうとしない。
「コアラ、私はサボと話をつけたい。だから構わないよ。サボは今私を襲える心理状態ではないからな。」
エスメラルダはコアラに言った。
「・・・分かったよ。いい、サボ君絶対に襲っちゃダ・・・」
サボはコアラを追い出した。
「・・・・・それで私のことがなんだ?」
エスメラルダはサボにさっきとは違う視線を向ける。
「お・俺が言いたいのは・・・つまり・・・」
「なんだ?」
「俺は・・・!お・お前のことが好きなんだよ!」
「・・・。」
「・・・。」
2人の間に沈黙の時が流れた。