第14章 Again・・・
エスメラルダが再び目を覚ましたのは昼下がりのときだった。
「お前・・・よく寝れるな。」
「寝てるときが一番落ち着く。」
「そりゃ人間誰だってそうだ。」
「寝るのが好きなんだ。」
サボは迷っていた。
エスメラルダに過去の話を聞くことを。
微風の話によればエスメラルダの過去は最悪だったらしい。
「なんだ?」
「いや・・・別に・・何も?」
サボ、何か隠してるな・・・。
「言いたいことがあるなら言え。」
「答えてくれんのか?」
「何が知りたい?」
「お前の過去。」
「・・・。」
「それが知りた・・・」
バシンッ
「二度と聞くな。」
エスメラルダが物凄い剣幕で言った。
「わ、悪かったよ。もう聞かない。」
「・・・。」
エスメラルダは黙って部屋を出た。
サボは追って来ない。
エスメラルダは思い出したくない過去に泣きそうになるのをグッと堪えた。
「嫌だ・・・。」
思い出したくなんかない!!
「消えろ。」
私の中からあの記憶は消えてほしい!!!
もう二度とあんな思いはしたくない。
「リオノーラ・・・私はお前を母親と思ったことは一度もない!」
私を人形に様に扱って!
私に人生を押し付けて!
私の幸せを奪って!
最低な親だな。
セザンもセザンだ!
あんな女といて何がよかった?
お前のせいで私は生まれてしまったも同然!!
「影を操れない私は使えない・・・か・・・。」
私によく接してくれたのはルーザーとラオルとルーラだったな・・・。
「お前たちが死んだのは悲しかった。」
両親のときは悲しみを感じるどころか喜びさえ感じた。
「リオノーラ、セザン。お前らは死んでくれてよかったよ。」
嬉しかった。
両親の束縛強制から解放されたときは。
海の音が何かを消した。
「----・--・---」
ふっ。
「ふははははははっ!!」
笑った。
泣いた。
感情が分かんなくなって怒った。
「そんなこと言ったら・・・。」
きっとサボと会うこともなかっただろうな。
サボ・・・。
最愛の人と会えなかったことになるなんて死んでも嫌だ。
それだけ愛している。
海に消された言葉はこうだった・・・
「私なんか・・・あの時死ぬか生まれて来なければよかったんだ。」