第4章 4
「おっかわりー!」
「渚くん早すぎるよ。もっと噛んで食べないと」
「ちゃんと噛んでるよ?」
肝試しから数日後。
相変わらず救助も来ない、生きてる人間も見かけない。八方ふさがりな状態のまま、時間だけが過ぎていった。
「おかわりはないの。ごめんね」
「また肝試し?」
「ううん。購買部にはもうないから、外まで行かないと」
まだ少し物資が残っていた購買部には、先日の肝試しでほぼ全部取って来てしまった。
茅野の意図を汲んだカルマは不安げに隣の渚をちらりと見る。
外……つまり学校の外へ行くということは危険が常につきまとう。とくに渚は自分の世界に閉じ篭った状態なので、できれば連れて行きたくない。でも置いて行くのも不安が残る。
自分一人で行く選択肢もあるが、何かあったとき茅野と渚だけでは、まず無理だ。
「外って……大丈夫なの? 茅野ちゃんは」
「いつかは出ないとね。足りなくなるのはうどんだけじゃないよ」
茅野の言う通りだ。どのみち物資がなくなったら調達するために外へ出る羽目になる。遅かれ早かれ、いつかは辿る道だ。
「まあ、そうだよね。じゃあ準備して、後日行くとしようか」
「うん。で、今日は何する?」
渚が問うと、茅野は閃いたと表情を明るくさせて言った。
「手紙出してみようよ!」
「え、手紙? でも郵便局は外だよ?」
「だから学校から」
学校からといえば、先日の肝試しで取ってきた風船が使えそうだ。確か理科室にヘリウムガスがあったはず。それで飛ばすことができる。
「俺は罠でも仕掛けて、鳩を捕まえてくるよ」
「鳩?」
「手紙といえば、伝書鳩でしょ」
古典的だが、悪くない。
カルマは鳩の餌になりそうなものと、小さな籠を持って屋上へ向かった。
残された渚たちは手紙を書いて待つことにした。
しかし、いざ書くとなったら何を書いていいのか迷う。
茅野を盗み見れば、何やら地図帳を開いて紙へ書き写している。
「何それ?」
「私たちはここにいますよってね」
「なるほど。居場所を書いてるのか……」
普段は子供っぽい一面が目立つ彼女だが、根はしっかりしている。
「う~ん……」
「どうしたの?」
渚は唸りながら書いては消し、書いては消しを繰り返している。
彼女が問いかけると、彼は恥ずかしそうに頭を掻いた。