第8章 *7話*
『ねえ聞いた??瑠維先輩、1年の野球部マネージャーと付き合ってるんだって!!!』
『知ってる!望彩ちゃんって子でしょぉ?可愛いから、お似合いだよねぇ、悔しいけど...』
『いいなあ、私、先輩狙ってたのにぃ』
噂は、本当に凄い早さで広まる。
昨日、付き合うことを正式に私から先輩にお願いした。
ただし、諦めるためだけ、だということも伝えた。
噂を聞いてか、希夜ちゃんはおめでとうと元気なさげに言った。
ぜんぜん、嬉しくなんかなかった。
「付き合えたのに、嬉しそうじゃないねえ」
雪那がそう独り言のように言う。
「まあ、ね」
曖昧に返事を返す。