第4章 広い背中
「……っ‼」
五人の隙を見て全力で駆け出す。
「おい、待て‼」
***
「はぁ……はぁ……」
追いつかなれないけれど、逃げきれない。
だけどじりじりと確実に距離は詰まっていく。
後ろを見ながら角を曲がると、ドンッと勢いよくぶつかってしまった。
「わっ‼ す、すみません‼」
「いや、こちらも不注意だった……君!?」
聞きなれた声に顔を上げると、そこに立っていたのは――
「山崎さん‼ どうして!?」
「君の帰りが遅かったから、様子を見に来たんだ。迷っているんじゃないかと思ってね」
「あ、ありがとうござ……」
「いたぞ‼ こっちだ‼」
そうだった。今はこんなことをしている場合じゃない!
「何の騒ぎだ?」
「さっき浪士に脅されて逃げてきたんです…このままじゃ、捕まっちゃう‼」
「……詳しい事を教えてほしいところだが、そんな時間は無いようだ。君、俺の後ろに下がっていてくれ」
「は、はい!」
山崎さんの背中に隠れた刹那、角から浪士達が顔を出した。