第1章 愛の海鮮丼
「チャン、今日はナワバリ行かないの?」
サザエ中毒をこじらせているウニの青年、ダウニーの膝の上で向かい合って座っていた。
ダウニーの体臭を胸いっぱいに吸い込み、ジャッジくん(猫)のように顔を胸に擦り付け、離すまいとしがみ付いて堪能する。
「んん~…」
「今ってランク20でショ?」
「21ぃ~」
「ウデマエは?」
「…」
顔をダウニーの胸に押し付け、すっかり顔を隠している、私のふくよかな頭の2つの触手をもちもちと弄びながら、痛い所をチクチクと突くように問いかけてくる。
「チャン、ガチマッチまだ怖いの?」
ねえねえと子供のように触手を乱暴に揉み、私の気を引こうとする。
痛くはなく、むしろダウニーに触れてもらうと暖かくてとても気持ちが良い。
「だって、ダウニーと離れるの嫌なんだもん」
「…(なに今日のイカチャンすっげーかわいくね!?なんで?あ~、今すぐ持って帰りてぇ~)」
静かな彼が気になり、恐る恐る顔を見ると目が合った。
オクタリアンのように綺麗な紫と緑の瞳に、うっとりと見惚れてしまう。
するとニヤッと口角が上がり、笑った?などと思った次の瞬間には強く抱きしめられる。
「ダウ…ニー?」
「なぁ、チャン、ずっと此処に居なよ。バトルなんてしなくたっていいからさあ。オレが養ってやるしっ」
「ホント!?」
大きい声を出してしまったからか、腕が緩んで少し慌てる。
だが杞憂であったようで、見たこともないニヤついた顔で私を見据え、肩をしっかりと掴まれ身動きが出来ない。