第12章 🍏Story11🍏 想いよ届け
「っあのさ琴吹......」
「はい?」
「っ俺ら、両思いで......いいん、だよな?」
「っ......はいっ(微笑)」
百合はしばらくの間を作ったあと満面の笑みを見せ、宏光に抱き返した。
「っ......」
こんな幸せな気持ちになるのは、初めてだ。
好きな子がこんなに近くにいる、こうして抱きしめていられるのが夢みたいだ。
「っでも実感がわかないです(苦笑)」
「俺も(苦笑)」
でもまだ両思いとなった実感がわかない。
「......でも、両思いなんですよね(微笑)」
「あぁ(微笑)」
けど俺らは両思い。
俺は彼氏で、琴吹は彼女......
この事実も変わらない。
「私、初恋だったんです......初恋は実らないってよく言いますけど、
そんなことなかったんですね......」
「あぁ......」
「本当に夢みたいです......」
「でも夢じゃねぇよ......俺らももう恋人だ(微笑)」
「はい......(微笑)」
宏光はさっきよりも強く抱きしめた。
そして少し身体を離した。
「っあのさ......」
「はい、なんですか?」
「その......ふたりっきりの時はさ、その敬語やめない?」
「え?」
「だってせっかく恋人になったんだからさ......それに、
先生呼びとかもさ......」
「っでも私、目上の人のことを呼び捨てにしたり
タメ口使ったことありませんもん(苦笑)」
「さすが真面目ちゃん(笑)
でも俺とふたりっきりの時は遠慮しなくていいから。」
「えっと......」
「ほら言ってみ?練習練習!」
「っそんな無理やり言わせなくても......」
「いいからいいから!」
「えぇ......んと、ひろ...みつ?」
恥ずかしそうに言う百合、そして声は段々と小さくなっていった。
「言えたけどまだ自信なさげだな(笑)」
「っだって呼び捨てとかタメ口なんてできませんもん!」
「ふぅん......」
もっと恋人感出したかったけど琴吹、いや......
百合には厳しかったみたい(笑)