• テキストサイズ

儚さゆえの愛しさで【銀魂】

第1章 出逢い再び



××side

「ちっ……避けられたか……。」

真っ黒な服に包まれながら、軽く舌打ちをした。これは千里に怒られるな、と思いながら、屋根から降り、バイクのエンジンをいれる。

まぁあちらも妖刀の存在をばらした。
おあいこだろう。

そろそろここにも追ってが来るだろう。

バイクに跨がり、走り出す。

今回近藤を狙ったのは幾つか理由があった。

1つ目は言わずもがな、今後作戦を決行するときに真選組が一番邪魔になる存在だと判断したからだ。

見廻り組ではない。アレは話にならない。

その大将である近藤を隊員としての命を殺せば、少なからず統率力は落ちると踏んだのだ。

2つ目は真選組の方が松平片栗粉に近い存在たと言うことだ。

彼は将軍に近い存在でもある。

3つ目はある人と同盟を組むため。
この話は嫌でも広がる。失敗には終わったものの、捕まらなかったと言う点は評価されるはずだ。

4つ目は、千里を試したこともある。
かつての仲間が斬れるのか、と。

結果としては70点だろう。
結局彼女は一人として命を消さなかった。
彼女は余計な殺生は嫌うのもあるだろうが。

なんにせよ、作戦は成功といっても過言ではないだろう。

『おーい、宗?』

少し考え込んでいるとイヤホンから気の抜けた千里の声が聞こえた。

「なんだ。」

小さいながらも聞こえるように襟元に向かって話す。

『近藤さん、撃たなかったの?』

「避けられた。たぶん万事屋のせいだ。」

『やっぱりそうなんだ。あいつ、気がついてたもん。』

「まぁ、でもいいから。お疲れ。」

『うんっ!宗も援護バッチリだったよ!』

笑顔が脳裏に浮かぶほど明るくホッとした声。

だからか、つい言ってしまった。

「悪かったな。」

『え?』

「仲間を斬らせて。」

相手が虚をつかれたのを察する。
しかしこれは嫌味ではなく本心だった。

『……大丈夫だよ。』

少しして沈黙が破られた。
彼女はゆっくり言葉を繋げていく。

『私はもう近藤さんでも土方さんでも、総悟の仲間でもないよ。』

「……。」

『私は……もう雨宮宗の''同志''なんだから。』

/ 273ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp