第14章 【幕間Ⅱ】雪螢と雨龍の会話
雨龍はその言葉に悲しそうな表情を見せたあと、儚く笑った。
淡い笑みに雪螢の心が締め付けられる。
『雪螢、貴女の願いは分かりました。』
繊細な声が紡がれ、硝子細工のような今にも壊れそうな言葉に雪螢は顔を歪める。
しかしそれは分かっていたことだと雪螢は無理して笑った。
そして話は終わりだと雨龍に告げ、お互いにそれぞれの住みかに戻る。
______分かっている。
______これは貴方へのある意味の裏切り。
______けれど雨龍、私はあの子は一人ではないと思うのよ。
雪螢の脳裏に暖かな坂田家の今日の光景が浮かぶ。彼女の笑顔と穏やかな気持ちがこちらにもあの時流れ込んできていたのだ。
______復讐が復讐を生むというのなら、復讐の目的さえ失った私が出る幕などあるわけがない。
______ねぇ雨龍、貴方も同じでしょう。
______そしてその事に貴方も気付き始めてしまっている。
_______けれど貴方は宗を遺しては逝けない。
_______自分のエゴで生んだ暇潰しの玩具。
_______後悔しているから共に逝くと決めたのでしょう。
_______貴方が千里の前に現れない理由もわかっています。
_______あの子を憎しみの最果てに連れていきたくない、そうでしょう。
_______なら雨龍、私を置いていかないほうがいい。
_______きっと大丈夫よ。信じましょう。
_______あの子はサクラの妹なのだから。